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コンシェルジュはどこで仕事をしているのか ホテルの中だけでなく (1/4)

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「超・営業力」特集:

 「営業の成績がなかなか伸びないなあ」「自社の商品が売れないよ」といった悩みを抱えている人も多いのでは。ビジネス書を読んだり、セミナーに出席したり、なんとかいまの立場から抜け出そうと試みるものの、うまくいかない。

 では「一流」と呼ばれている営業担当者は“ひよっこ”のとき、どういったところに着目し、どのようにして成長してきたのか。本特集はそのきっかけに迫り、二流から一流になるためのヒントを探る。

 ホテルでお客さんのリクエストを聞き、それに応える接客のプロフェッショナル――。コンシェルジュといえばこのようなイメージがあるが、仕事の裏側はどうなっているのだろうか。

 2016年9月、新宿ワシントンホテル(運営:藤田観光)でコンシェルジュの部門を発足し、その立ち上げメンバーだった平野敏美さんは、社内のコンテストで表彰される。社内だけでなく、社外からも、お客さんからも高く評価されているので、「順風満帆なのね」と思われたかもしれないが、そうではない。数々の失敗を経験し、それを乗り越えて、いまがある。

 では、どのような失敗を重ねてきたのか。専門的なスキルと豊富な知識が求められるコンシェルジュの世界で活躍している平野さんに、接客力の極意を聞いた。

アルバイトからスタート

――どういったきっかけでホテルで働くようになったのでしょうか?

 高校卒業後、2001年にニューヨークへ渡って、大学に通っていました。大学ではトラベル&ツーリズムを専攻していて、インターンシップで空港近くのホテルで働くことに。そのころに「日本に帰っても、英語を生かすことができるホテルで働くことができればなあ。できれば接客をしたいなあ」と考えていました。

 当時、日本のホテル事情については詳しくなく、現在働いている「新宿ワシントンホテル」のことも知りませんでした。たまたま親戚が東京マラソンに出場することになって、その人を応援するために身内で集まることに。そのときの待ち合わせ場所が新宿ワシントンホテルだったんですよね。

 数カ月後、「そろそろ働かなければいけない」と考えていたところ、ぼんやりと新宿ワシントンホテルのことを思い出しました。「そーいえば、待ち合わせで行ったなあ」と。たまたま、アルバイトを募集していたので、フロント業務として働くことになりました(その後、契約社員を経て、現在は正社員)。

コンジュルジュとしてお客さんに接している平野敏美さん

自分がやりたかったことと少し違うのでは

――学生時代にホテルで働くことに憧れていたということですが、フロントで働くことは楽しかったのでは?

 自分がやりたかったことができない――。このような葛藤にずっと悩んでいました。どういうことかというと、フロントでチェックインの対応をしているときに、足の不自由なお客さんがいるとします。そうしたとき「できれば部屋まで案内したい」と思うのですが、その場を抜け出すことはできません。カウンターに立っている人間が抜けてしまうと、他のお客さんにご迷惑がかかるので。でも、困っている人が目の前にいるのに手を差し伸べることができないことに、葛藤を感じていました。

 当時の上司に相談したところ、「ここはビジネスホテルなので、そこまでやらなくてもいい。いまは自分の仕事に集中しろ」と言われました。フロント業務に携わってから数年間、「自分がやりたかったことと少し違うのでは」と悶々としていました。

 とはいえ、お客さんと接しているときは、ものすごく楽しかったんです。「お客さんの笑顔を見たい」「自分も笑顔を忘れてはいけない」「接客を極めたい」といった気持が強くて、プラスアルファのサービスをどのようにしたら提供することができるのかといったことをよく考えていました。

――どういったきっかけで、コンシェルジュの仕事に携わるにようになったのでしょうか?

 2015年4月に「ホテルグレイスリー新宿」のオープンが決まりまして、そこでコンシェルジュを配置することになりました。上司からも「やってみないか」と言っていただき、立ち上げメンバーのひとりになりました。アルバイトとして働くことになってから、ずっとフロント業務に携わっていたので、「コンシェルジュ」と聞いても、どんな仕事なのか想像できませんでした。当社の場合、ホテル椿山荘東京にコンシェルジュがいるので、1カ月間、そこで研修することになりました。

 コンシェルジュをしている人たちを見ていると、さまざまなことに対応していることが分かってきました。チェックアウト時にお見送りをしたり、観光名所を伝えたり、ツアーやレストランを予約したり、クルマを手配したり。お客さんの要望に対して、できることは全て対応していました。

新宿ワシントンホテルは東京都庁の近くにある

自分だけの情報を手にしなければいけない

――コンシェルジュの仕事って、「お客さんから言われたことをやっていればいいのね」と思われる人も多いのでは。

 「言われたことをやっていればいい」といった世界ではないですね。お客さんにプラスアルファのサービスや情報を提供するのに、自分の情報量がなければいけません。例えば、人気レストランを予約する場合、誰がやっても同じと感じるかもしれませんが、実は違う。このコンシェルジュだから予約ができたといったケースがあるんです。なぜならその人は人気店との太いパイプがあるので、融通が利くんですよね。

 また、お客さんから「このレストランはどうかな?」と聞かれることが多いのですが、そうしたときにどのように答えることができるのか。行ったことがあれば、いろいろな情報を提供することができますが、行ったことがなければ、ネット上でアップされている情報しか提供できません。一度でも足を運べば「外国語に対応しているのか」「スタッフの語学力はどうなのか」「お店は海外の人を受け入れようとしているのか」「食物アレルギーに対応しているのか」といったことを確認できるので、自分のチカラになるんですよね。コンシェルジュに接してくるのは海外の人が多いので、レストランなどに行った際には、自分が外国人になった目線でチェックしています。

 コンシェルジュってホテルの中で仕事をしているので、「お客さん以外で、外部の人と接する機会は少ないのでは」「外に出ることも少ないのでは」と思われている人が多いかもしれませんが、実は違う。観光地であったり、レストランであったり、ツアーであったり、できるだけ現場に足を運んで、自分だけの情報を手にしなければ、この仕事を続けることは難しいかもしれません。

新宿ワシントンホテルのロビー

――平野さんは椿山荘東京で研修を受けて、ホテルグレイスリー新宿でコンシェルジュの仕事に携わりました。その1年後の2016年9月に、新宿ワシントンホテルでもコンシェルジュ部門を立ち上げ、その初代メンバーに。この仕事をしていて、失敗をした経験はありますか?

 たくさんあります。海外から来られた人が「レストランに行きたいんだけれど、どこかいいところないかな?」といった質問がありました。会話をしていくなかで、行きたいところは「しゃぶしゃぶ店」であることが分かってきた……いえ、思い込んでいたんですよね。希望の場所や予算などを確認して「この店はどうですか?」と聞いたところ、そのお客さんは「そこでいいわ」という返事だったので、予約しました。

 ところが、後日。サイトの口コミ欄で、そのお客さんは「コンシェルジュに勝手に勧められた。自分は『しゃぶしゃぶ店に行きたい』とは言っていないのに」と書いていました。このほかにも「日本は初めてだったので、もう少し質問してほしかった。私たちが聞かなかったこともいけないが、コンシェルジュであればそれくらいの対応はしてほしかった」とつづられていました。

平野さんが失敗から学んだこととは

機嫌の悪そうなサラリーマンを見るとワクワク

――お客さんのコメントを読んだとき、どのように感じましたか?

 ものすごく反省しました。当時のやりとりを思い出してみると、会話の途中であったのにもかかわらず、一方的に私ばかり話していました。「しゃぶしゃぶの店でよいでしょうか?」と聞けばいいだけなのに、自分はお客さんの顔色をうかがわずに、接客をしていました。基本的な対応ができていなかったことに、ものすごく反省させられました。

 お客さんが「ここに行きたい」と言ってこられたときに、私がしなければいけないことは何か。発言の裏で何を考えているのか。そこをちゃんと掘り起こさなければいけません。質問攻めにするのではなく、最低限のことを聞かなければいけない、確認作業を怠ってはいけない、ということを学びました。

 そうしたことを経験したので、いまでは確認作業を怠らないようにしています。例えば、レストランに行きたい場合、「日本に来たのは初めてなのか」「いつから日本にいるのか」「昨日は何を食べたのか」などを聞く。とはいえ、なんでもかんでも、こちらから聞いてばかりではいけません。会話をしたくないお客さんもいるので、その人の表情などを見て、質問するタイミングを考えています。

 この仕事をしていて楽しいときですか? チェックインのときに、「この人、疲れていそうだなあ」と感じることがあります。そうした人に接客することで「ありがとう」と言ってくれたり、笑顔を見えてくれたり、といった感じで“変化”があるとうれしいですね。機嫌の悪そうなサラリーマンの方が来られると、実はワクワクするんです。ちょっと変わっていますかね? (笑)

機嫌の悪そうなサラリーマンを見ると、ワクワクするという

接客の極意:

  • 接客をするとき「その人のことを好き」または「好きになってほしい」と思って対応する。
  • 現場に足を運んで情報収集する。その情報をお客さんに提供する。

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